最近では 大学の授業などでも一般的に使われだしている「ガントチャート」というツールですが、ビジネスの現場などでもだんだんメジャーなツールとして普及してきているようです。
一般的にはプロジェクト管理などに使われることが多く、ガントチャートという言葉よりも「工程表」や「計画表」「進行表」etcなど会社によってはいろんな名前で呼ばれていましたが最近は「ガントチャート」という言葉が広く使われるようになり、だんだんメジャーな言葉になっているように思います。
こちらのページではこの「ガントチャート」の初歩的な説明やその作り方やコツ、運用方法を説明していこうと思います。
ガントチャートとは?
さて、上記のようにウィキペディアによりますとガントチャートとはプロジェクト管理や生産管理などで工程管理に用いられる表の一種だと書いてあります。機械工学者のガントさんが考案したので「ガントチャート」という名前なんですね…。
さて、このガントチャートの特徴としては一つ一つのタスクを一つの表にまとめて表示、管理しますが
- ① 横軸が日付
- ② 縦軸にタスクなどの工程を期間を示すバー
で表示します。
このようにプロジェクトの進行予定具合を一枚の工程表に収めて閲覧性を高めたものがガントチャートの特徴です。
ただ、ガントチャートが考案されたのは1900年代だったこともあり(当時はパソコンなんてありませんから)紙での情報共有を前提としたツールでしたが21世紀になりパーソナルコンピュータやインターネットが普及した現在では目にするものとしては随分と違うものになりつつあると思います。
もちろん工場やオフィスなどでは一昔前までは大きなホワイトボードに同様の工程表をホワイトボードマーカーなどで書いたり消したりしている場面も多かったですがITツールが普及した昨今ではインターネットツールや表計算のソフトなどを使うケースが多いかと思います。
以下に例を示しますね。
<<<マイクロソフトエクセルでのガントチャートについて>>>
泣く子も黙るマイクロソフト社の表計算ソフトエクセルを利用したガントチャートです。
メリットとしてはビューの縮尺の細かさや(直感的とは言いづらいものの)ビジネスシーンで使い慣れたツールなので各々の利用者の方にエクセルを使用するスキルもすでにあることも多いですし、何よりも印刷機能が充実しておりますので紙やファイルでの共有ということであればかなり細かく、ユーザーの方の思った通りの画面を作ることも可能です。
デメリットとしては、表計算の基本設計としては元々インターネットなどのインフラが出来上がる以前のものですので複数のユーザー同士で編集したりする場合にはバージョン管理などをしっかりしないと複数のバージョンのガントチャートが共有されてしまったり、プロジェクトマネージャが意図しない編集や削除などが起きることがあり、本来の「進行しているプロジェクトの現状の写し」というガントチャートの最も優れた部分の一つがスポイルされてしまうことがありますので注意が必要です。
エクセルでガントチャートを作り、共有する場合のコツとしては「なるべく複数の人間が管理せず、一人の管理者が責任を持ってガントチャートを管理する」あるいは「工程を複数のブロックに分け、その各々の管理者のみがチャートの編集をし、最終的なマネージャ(アシスタント)が一枚のガントチャートにまとめて共有」することで原本を特定した状態での工程表の共有が可能かと思います。
ちなみに現状の世界中のビジネスマンで最も普及しているガントチャートの作成ツールが事実上マイクロソフト・エクセルであることは間違いありませんのでブラビオ・プロジェクトのサービスでは「エクセル出力機能」を実装しています。
弊社の社員が@ITに寄稿している記事もございますので、参考にしていただければと思います。
こちらのページでは初歩的なガントチャートのエクセルでの作り方や日数や進捗率を計算するためのテンプレートをダウンロードすることもできます。
その他、ブラビオ・プロジェクトでのガントチャートの作成方法、エクセルシートへの出力方法などが書いてありますので参考にしてみていただければとも思います。
<<<ブラビオ・プロジェクトなどのインターネットツールを利用した場合>>>
さて、前述のマイクロソフト・エクセルなどではその情報の共有は宛先のたくさん入ったメール(ccなど)や社内のファイル管理などで行われることが多く、前述の通り原本を管理するのが非常に困難な部分も併せ持っています。
そこで表計算ソフトでの作成→メールなどでの共有ではなく、インターネット上でガントチャートを作り、共有する専用のインターネットツールがあります。ブラビオ・プロジェクトというインターネットサービスもこちらに属しています。
インターネットサービスでのガントチャートツールのメリットとしては
- 原本を一つだけインターネット上で共有するので複数のバージョンが乱立するリスクが少ない
- 専用ツールならではの使い勝手の良さがある
- 最初から情報共有ツールとして開発されているのでガンとチャート以外の部分の機能(メッセージやファイル管理、タスク管理、複数のプロジェクトの同時進行)などの部分でかゆいところに手が届くツールが同時に提供されている場合が多く、情報共有をしやすいこと。
- エクセルの場合表示するためにはマイクロソフト・エクセルのアカウントが必要ですがブラビオ・プロジェクトなどのインターネットツールであれば共有するメンバーはスマホなどでも情報にアクセスすることができ、その際に専用のアプリケーションは必要ない
- インターネットサービスなので端末を問わずインターネット環境さえあればパソコンでもMacでもスマートフォンでも、iPhoneでもタブレットでも環境を問わずに利用することができます。
ということでしょう。
逆にデメリットとしては
- プロジェクト管理サービス(ソフト)の中ではガントチャートの機能をオプションにする場合もあり大人数になるとコスト的に厳しい場合もある。
- インターネットに繋がっていない端末ではリアルタイムの共有情報を閲覧することが難しい。
ということでしょうか。
もちろんブラビオ・プロジェクトでは無料プランでもガントチャートは使い放題(一部制限有り)なのでまずはお試ししてみるのも良いかもしれません。
ブラビオ・プロジェクト以外の代表的なサービスとの比較なども前述の@ITに投稿した記事にまとめたものがありますのでこちらもご覧いただければと思います。
ガントチャートを作る理由
さて、話しは前後しますが、ここまで説明してきましたガントチャートですが、そもそもなぜ「ガントチャート」を作るのでしょうか…
もちろんガントチャートを作る”べき”とはブラビオでは思っていません。
プロジェクトや工程などを管理する場合、その場面々に応じて様々な方法やツールが適応する場合があります。
例えば通常のガントチャートでは横軸は日付となりますが作業分担表などを少人数で共有する場合は縦軸を日付、横軸をメンバーでタスクやToDoなどを共有したりする場合があります。これはイベント管理の場面などにはよく見られる手法です。おそらくこちらは紙ベースでの情報共有を前提としていてその際に印刷などの関係で用紙の紙面はスクロールはしませんのでこういった表現手法で情報を共有するほうが効率的な場面もあります。
また、そもそもチャートにせずにタスク一覧などをエクセル管理したりする場合もあります。この場合もやはり印刷物をベースに情報共有するケースが多く見られます。
では、なぜ人々はガントチャートを作るのでしょうか…それはおそらくプロジェクトや工程管理で起きるToDoなどを「網羅」し、且つ「なるべく誰にでもわかりやすいように表示できる」という見える化を進めていく場合にガントチャートというツールが適してい場面が多いということなのだと思われます。
まずは「網羅」という部分ですがプロジェクトを管理する場面では思いのほか沢山のToDoやタスク、注意事項や絶対に変更することのできない途中のイベントやゴールなどが存在します。ガントチャートを作り、プロジェクト内のタスクを「網羅」することでそのプロジェクトに必要な事項を「見える化」し、他のメンバー同士でガントチャートを「共有」することで、ゴールに向かうプロジェクトでの致命的なタスクの欠落などがないようにメンバー相互に確認することが可能になるのです。
また、プロジェクトマネージャの頭の中にある計画はなかなか本人しかわからない形式で格納されている場合もあり、瞬時に取り出すことは困難ですが、これをメンバーの共通認識としての工程表のフォーマットである「ガントチャート」というツール上に表現することで「プロジェクトの内容が誰にでもわかりやすい共有認識」になるというメリットがあります。
そのような理由ともう一つ大きな理由は前述のパソコン、スマホなどの普及で離れた場面でも情報共有ができやすくなるからということもあります。
信じられないかもしれませんが一昔前では最新版のガントチャートを共有するには、そのプロジェクトのホワイトボードなどを物理的に見に行ったり、最新版を印刷してもらったり、都度々マネージャに直接確認したりしていた時代もあります。
今は時代が変わり、インターネットツールとしてのガントチャートが工程表などを作る際に大きな助けになることも多く、そういった理由で最近現場でのガントチャートの利用が増えているのだと思われます。
ガントチャートを使うメリット・デメリット
さて、ここまでのお話をガントチャートを使うメリット・デメリットという観点で少しまとめてみましょう。
<ガントチャートを使うメリット>
- プロジェクトに必要なToDoやタスクが時系列でまとめられるため一覧性が上がる。
- 関係タスクやメンバー情報などを「網羅」することにより現状の見える化ができるようになる。
- 上記に加えてPCなどのツールをつかうことでより簡便に作成、修正することができるようになる。
ということでしょう。
またデメリットとしては
- 思いの外作成に時間がかかり、複雑になりがち。
- 複雑に絡み合ったタスクなどが存在する場合ひとつのタスクを移動するだけで複数、多数のタスクに影響する場合があり原本をリアルタイムに更新し続けるのが困難な場合がある。
ということでしょうか。
ここからはブラビオ・プロジェクトを使うことで“なるべく”失敗しないガントチャートの使い方を説明しますね。
ガントチャートの“なるべく”失敗しない使い方とは?
さて、ここまできてガントチャートの失敗しない使い方ですが…なかなか難しい問題です。
ただ、今まで10年ほどブラビオ・プロジェクトを提供してきて、ユーザーの方と様々な意見交換をした結果として失敗するケース(ブラビオ・プロジェクトを使い切れず解約するケースですが(T_T))に一番多く見られるケースの特徴としては
「更新をしない、できないが原因のほとんど」だと思います。
※この場ではプロジェクト全体のメンバーのモチベーションやスキルなどはいったん外して考えます。
大変便利そうなガントチャートですが前述の通りのデメリットもあり現代のPCなどでの工程表の共有は目の前のディスプレイの大きさに閲覧性が依存する部分が多く全体を見渡せるように一覧性をあげ、且つ全体の網羅率を上げることは相反する部分もあり非常に厄介な問題です。
そこでなるべく失敗しない使い方の提案としては
- タスクを必要以上に詰め込まないこと。(登録タスク数をできるだけ控えること)
- 進捗状況の更新、確認をツールに依存しすぎないこと。
- ガントチャートへの更新(記入)をメンバーに依存しすぎないこと。
だと思います。
例えば10ヶ月のプロジェクトだとしてこの10ヶ月の間メンバーが常に自分の進捗状況に合わせてガントチャートを更新し続けるのはなかなか大変だとわかると思います。
そこで使い方のヒントとしては
- タスクを必要以上に詰め込まないこと。(登録タスク数をできるだけ控えること)
→ 網羅することを重んじるあまり細かなタスクまですべてガントチャートに登録してしまうとその分だけ更新する作業やチェックをする工数も大変ですので、 例えば A、B、C社への見積もりというタスクがあった場合「タスク1=A社への見積り」、「タスク2=B社への見積り」、「タスク3=C社への見積り」とするのではなく「タスク0=ABC社への見積り」ということで3つの細かなタスクを一つのタスクとすることで登録、管理するタスクの数が1/3になります。このようになるべく纏めることができるタスク登録は纏めることもガントチャートを膨大にしないコツだと思います。
- 進捗状況の更新、確認をツールやメンバーに依存しすぎないこと。
→ こちらも非常によくあるケースですがプロジェクトのマネージャが少しでもプロジェクトの精度をあげようとしてツールなどを導入する場合ツールの管理まで各々のメンバーに丸投げすケースを良く見ます。
実際にブラビオに到着する相談でも散見されるのは「メンバーがぜんぜんツールを使ってくれない」というものです。実際の解決策としては「ガントチャートの更新は“時として”マネージャが責任を持って行う」です。
ツールを導入し、更新作業は全部メンバーに丸投げ、挙句の果てには「データの更新をちゃんと行ってください」といくら口酸っぱく言ったとしてもなかなか動いてくれないのがメンバーというものです。
具体的にはどんなプロジェクトでも進捗を確認するミーティングの設定はあるかと思います。
このミーティングはメンバーからの更新情報を元に行うことも多いかと思いますがこの際に更新していないメンバーを責めるのではなく「ミーティングの際にマネージャがツールを更新してあげる」ことでツールに収められたデータの陳腐化は確実に防ぐことができます。
もちろんキチンとデータを更新してくれるメンバーもいるので扱いに困る部分もあるかもしれませんがそこはプロジェクトに対する愛情を優先して(笑)マネージャが率先してデータの更新をしていくことは大切だと思います。
また、扱うタスクが多い場合は中間のマネージャにこの作業をお願いして管理の負担を分担することも良いかもしれません。
それから最後に重要なのは「データを更新しない理由として”作業が滞っていてデータを更新しづらい」メンバーもいるかも知れません。
この部分はツールではなかなか解決できないのですが例えばブラビオ・プロジェクトなどには「進捗報告」という機能があります。
こちらは一つ一つのタスクに対して「いつ報告がされたか」を表示できます。
例えば「進捗理が低いタスクだけれども1日ごとに報告されているタスク」と「進捗率は悪くないがデータの更新が2週間以上経っているタスク」の場合後者が最終的に「スミマセン。完了できませんでした」というリスクは高いのかもしれません。
“プロジェクトは進捗率90%からが勝負”という言葉もあるように表面の進捗率に囚われずツールだけでなくLINEなどのコミュニケーション機能を活用してメンバーとの情報交換を向上してみるのも意外と良かったりするかもしれません。